クリックすると、拡大画像が見られます。TOWNS計画

1.はじめに

 2003年10月より、パソコンの処分が有料化された。このため、職場にある不要パソコンを急いで処分しな ければならなくなった。処分予定のパソコンの中に、N社の9801(9821にあらず)数台とともに1台のFM-TOWNSが出てきた。
性能的(386SX-20MHz)には時代相応(1987年製)でディスプレイもソフトウェア(TOWNS OS)も使い道も無いが、その姿を見て思わず生唾がでた。
なぜなら、以下に述べるようにたいへん魅力的なマシンであるからである。

(1) 全体にコンパクトでかつ持ち運び用取っ手があり、持ち運びが簡単
(2) ダーク(ジャーマン)グレイの外部色、渋いなぁ。< の外観写真>
(3) マルチメディアをうたっていただけに、1980年代にしては豊富に用意されたサウンド端子
(4) 正面で回るCD-ROM動画(大) 動画 (小)、これぞTOWNSがTOWNSである最大の由縁

これほど異機種改造(DOS/Vマシン化)の条件が揃ったマシンがあるだろうか、いや無い!過去に異機種改造した経験か ら、筐体 はもともとパソコンなので意外と使えるものである。
しかし、(4)は難易度高本改造で最大の難所で あろうことは予測ができるが、捨ててしまうにはあまりにも惜しい。


2. FM-TOWNS-U 改造記

メインフレーム切断中
Mission-1 解体
最初に、TOWNSを解体する。15年前のマシンだけあって、ケースの中にフレームがあり、そのフレームがネジ止めであることに は、少々驚かされた。内部にもディスクリートで組まれている箇所が、多々有り内部密度は高い。
残念ながら、フロントパネルのスィッチ類以外のパーツは、ほとんど使用できそうにもないのですべて撤去。
内部のフレームもドリルでカシメを外して外した。
フレームの一部は、切り取った。(右図参照)

Mission-2 ケースの考察
インナーフレームを撤去したら内部はシンプルで、小型マザーなら入りそうな空間がある。
天板は、ネジ止めで外すことができ、内部のメンテナンスには便利そうである。
内側のシルバー塗装は、シールド用のメッキになっている。
フロッピーのブラケットも、昨今の物と比べると分厚く重たい。
CD-ROM部分は見れば見るほど複雑である。果たして再現は、可能なのだろうか。

工程85%

Mission-3 方針・使用部品決定
方針:原型の『イメージ』を極力再現する。
   :使えるものは、できるだけ使う。

主な使用部品
(1) CPU…転がっていたceleron 667MHz(CopperMine)
  →突然死により Pentium-V 500MHz(CopperMine)に換装

(2) マザーボード…QC-PASS ジャンク(\500)。
富士通製(デスクパワー Cシリーズ 2000年5月モデル用,チップセットはintel 810E))がピッタリ。…TOWNSとメーカーも同じ富士通だし。

(3) 電源…こちらも、QC-PASSジャンク (\200)。元は、NECのブック型省スペースマシン用らしい。
大きさの割には重い(あまり軽い電源って怖くない?)し、P4用端子も付いている。
これをTOWNSの電源ケースに納めてしまおうという魂胆。

(4) ハードディスク・ブラケット…Mac CL-2の残骸から抜き取ったFDDブラケット。穴位置もピッタリ
しかし…。

(5) CD-ROM…当初は、ジャンクで拾った "Panasonic CR-585B(24倍速:\96)"を加工して使おうと思って加工したが、組み直してみると。 ガーン!
基板が、TOWNS本体より広い! これじゃ入らないではないか。おまけに、ケーブルをつなぐと本体の下の方まで行ってしまい、フロントパネルのスィッチ類がすべて使用不可になる。
元来、省スペースマシン用マザーなのだから、潔くスリムタイプ(ノート用)のCD-ROMを使用するのが吉のような気がする。
ところでケーブルは、どうするの?

Mission-4 電源部の加工
TOWNSの電源部は、専用設計で、細長い直方体になっている。
出力も12Vと5Vなので、ATXでは使えない(その前に、だいたい容量が足らん)。ここで、中身はすっぱりあきらめた。
一方ジャンク電源は、2枚の基板に分割されており、並べてみると電源ケースに納まりそうである。

オリジナル (前面)ファ ン取り付け 内部ユニット単体動作確認中
ハードディスクのブラケットも上に付けると、はて?これ、単体で動作しませんか?
で、ケースに納める前に試運転。動作を確認。
これが、電源ユニットにあった銘板。ごらんの通り、 200WのATXである。
いいパーツ使ってます。 マザーボードの傾斜取り付けに注目
ちょうど5cmファンの手持ちがあったので、押し込み側に使用。
サービスコンセントもリレーを併用して、ON-OFFできるようにした。
マザーボードを電源の箱に傾斜させて取り付けると、ケースにうまく納まるようなので取付穴も 開けておく。
電源ケーブルもギリギリで届いた。
改造後
クリックすると、拡大画像が見られます。

Mission-5 リアパネルの加工
できるだけ、元の雰囲気を生かしたいが、もともと異機種のマザーを無理矢理押し込もうというのだから、リアパネルはそれなりの加工が必要である。

こちらが、オリジナルのリア・パネル  たくさんの開口部は、新開発の(どこが?!)「低 発泡ポリエチレン板(2.4mm厚)」で塞ぐことにした。  そのままでは、電磁波が出まくるらしいので、遠い 昔(都内23区の局番がまだ3桁であったころ!!)にDIYセンターで買ってあった「粘着剤付きステンレスシート」を裏から貼って、シールドした(つも り)。
オリジナル リアパネル しっかりシールド
クリックすると、拡大画像が見られます。おまけ 液晶ディスプレイ用の電源取り出し口を付けてみた。
左側が、12V(IBMと同じ規格のコネクタ)。右側が、5V。
コンセントは、連動式。

Mission-6 フロッピードライブ付いた!
マザーボードがかなり前まで来るので、フロッピーは付かないと考えていたが、ノート用のFDDなら取り付け可能であることがわかった。
ケーブルの入手には、苦労した。ドライブは、お気に入りのTEAC製 FD-05HGを使用。

現物合わせで型紙を起こし、ブラケットを作って取り付けた。
型紙合わせ。 本体に、取り付け。 クリックすると、拡大画像が見られます。
FDを付けました。


Mission-7 前面パネルの加工クリックすると、拡大画像が見られます。
前面パネルは、1980年代のパソコンとは思えないほどあか抜けたデザインが特色。
5連LEDのレベルメーターが目立つ。
とりあえず、POWERスィッチと隣のLEDは、そのまま活用することにした。
レベルメーターと電子ボリュームは、当面、飾りにしておくしかなさそうである。ICは買ってあるのだが、アナログ・ボリュームの方がはるかに使いやすいの で、出番は無さそうである。

フロントパネルの下部に、
@MIC  ・・・・・・・・ 内蔵MIC もあるので、AUX入り口として使用することにした。
APHONE ・・・・・・・ そのまま オーディオの出力端子として使用

ジャックの止めネジが見えるが、御愛 敬と言うことで。

BMOUSE & PAD ・・・・・・ 今やUSB接続が主流になっている。 ということで、USBハブ(4口)に交換してある。
取付は、散々悩んだ末、塩ビ板バネ方式を採用。開口部に3口までだした。
1口は後部に回してキーボードをつないだ。

Mission-8 底板へのアンプ組み込み
TOWNSの売りは、"Multi-Media(死語!)"である。
本体にもスピーカーが付いているが、惜しいかな左だけのモノラルである。しかも、15年の年月でかなりへたっている。
そこで、

エレキット製ステレオアンプ
アンプは、ジャンク品の使用も考えたが、何しろ音質に保証がない。
そこで、エレキットの「2モードアンプ」を使うことにした。
電源には、一応レギュレーターを付けて、ノイズ対策にしてみた。
左側が、前面
上側内部
左側が、前面
本体右側(SP穴は、新設)
こちらにも、スピーカー増設
右側にも穴を開けて、ステレオになるようにスピーカーを取り付けた。
本体左側(SP穴は、オリジナルのもの)
キーボード接続の穴に、ボリュームを
基板を取り付けた後で横を見ると、格好の位置に「キーボード」の穴が開いている。そこで、ボリュームを取り付けた。
何と言っても、電子ボリュームより機械式の方が使い易い。
右下にあるのが、CPU
左側内部
右上方にあるのが、ハードディスク
右側内部


Mission-9 CD-ROM(今回のメインイヴェント)
このマシンの製作にあたって、正否の最大のポイントを持ち、かつ最後まで私の頭を悩ませたのは、CD-ROMをどうするかであった。
異機種改造リンクによると、過去にもTOWNSをDOS/V機化しようという試みはいくつか行われてきた。
うち1件は、ピックアップ部をエポキシ接着剤で固定→騒音と振動が激しく、実用化の壁となる。
もう1件は、ここで改造を断念 している。
なぜ困難か、

1, 内蔵のCD-ROMがあるが、まだ規格などが確立していない時期のドライブのため、インターフェイスや寸法などが特殊であり、現用の機種と置き換えること ができない。
2, CD-ROMの蓋は、手前に開く。CDの固定方は、蓋に付いたマグネットによるチャッキングである。これは、松下系の5インチ・ドライブに採用されている 方法(現在でも、富士通では松下製ドライブの採用例が多い)であるが、本体の幅よりも5インチ・ドラ イブ(の中の基板)の方が広い!

以上のような理由で、通常のCD-ROMの改造では、ドライブ登載は困難である。さあ、どうするか。
今回は、ノート用(スリム・タイプ?)のドライブを使うことにした。

第一に、寸法上の理由(コンパクトである)。
第二に、ディスクを垂直位置に立てて使うため、機械的にチャッキングすることができるた めである。
使用したドライブは、手元にあった TEAC製CD-W24Eという4倍速CD-R/RWドライブである。これのトップカバーを外し、オ リジナル のCD-ROMドライブのフレームを加工したところに固定する。
これで、オリジナルとよく似た姿になるが、アクセスランプを延長し、蓋の裏側に新たに(話題の?)青色 LEDを取り付けてみた。
CDにアクセスすると青く点滅して、なかなか美しいと思うのだが…。
接続には、スリムタイプ→IDE変換基板を使った
マザーボードとの接続は、本来ならCD-ROM用に用意された50Pコネクタ(IDE-2)につなぎたいところだが、接続ケーブルの製作困難(0.6ピッ チ!×50本!!のハンダづけ)のため、IDE-1のスレーブにつないである。
ATA-100ケーブルを延長する必要があるので、偶数⇔奇数入替(1→2,2→1…,39→40,40→39のように2本ずつクロスさせて作った)ケー ブルを作り、ピンヘッダ経由でつないである。

1.
まずは、オリジナルのCD-ROMをごらん下さい
2.
こちらが、完成品。良くできてるでしょ。
(^^)//""""""パチパチ
3.
オリジナルCD-ROMのフレームと、使用するスリムタイプCD-RW(TEAC CD-W24E)
TOWNSオリジナルCD-ROM 一見、純正部品? トップカバー外して、大丈夫?
4.
フレーム改造前
5.
フレーム改造後
6.
ドライブを組込
いっぱい切ります。 ほとんど、左右だけ。 完成間近
7.コネクタ側から 8.接続ケーブル
(40Pケーブルの偶数⇔奇数 反転用)
左側:マザーボード側(そのまま)
右側:ドライブ側(奇偶数反転)
9.本体に取り付けた。
変換コネクタ取付後作るの結構大変かも…。

われながら、良くできたと思う。
10.認識しました!!(^◇^) 11.照明もつけてみました。 12.ケーブル類は、ご覧のとおり
起動時のBIOSなぜか、青色が出なかった(хх,) 複雑怪奇。魑魅魍魎。百鬼夜行

動作状況
1.回転位置が、垂直になるのでスリムタイプのドライブを選んだ、機械的にディスクをチャッキングしてくれるので、安心である。8cmCDもOK。

2.ドライブについていたLEDは、見えないので取り外し配線を延長して、蓋に付けた青色LEDをアクセスランプにした。
動作状態の 画像動画 はこちら。

3.はじめは、CDの交換を認識させることができずに悩んだが、"取り出し"をクリックすると認識させることができる。

★ ちなみに、オリジナルのドライブには、今は亡き社会主義国への輸出 禁止ラベルが貼ってある。時代を感じるなぁ。

本製品は、「外国為替及び外国貿易管理法」に基づく戦略
物資等(または特定技術)に該当します。従って、本製品
またはその一部を輸出する場合には、同法に基づく許可が
必要となります。           富士通株式会社

★ 極力、原型に忠実に作ったつもりだが、蓋の開閉機構との関係で3mmほど中心点がずれている。あまり目立たないからいいか。


3.完成→使ってみる
OSには、Windows2000を使うことにした。
XPでも良かったのだが、安定度と重さ(マザーボードの開発時期も)を考えると、こちらがより妥当な選択のような気がする。
サブにLinuxを入れて実験機としても使ってみる予定である。
約1ヶ月間試運転したが、特に問題も発生せず、普通のパソコンとして稼働中である。

  − 以上は、2004年現在の記事です。 現在では動作困難なスペックとなりましたので、内部を全交換した2代目を動かしています。 −